lux luceat eis


10.狂気

「もう一回言うよ」

「今日は君が死ぬの」

「投票で、公平に、決まったんだよ」
11.聖なる者

今から後、主に結ばれて死ぬ人は幸いである
霊も言う。
然り、彼らは労苦を解かれて、安らぎを得る。
その行いが報われるからである

ヨハネの黙示録、十四章十三節の言葉です。

死して世に留まらず
主の御許へ召された者は全てが聖い。
人としての心無く、姿無く、
また何の行為も為さぬ者こそ聖なる者。
ですが

何も生み出せない者でもあるのです。
12.隣人

「あんたよく教会に行ってたよね」
「やれミサだ、告解だ、って」

「ねえ、よく言うじゃない」
「“汝の隣人を愛せよ”ってさあ」
「なのにさあ、俺の事処刑すんの?」

彼の訴えは誰にも届かず
村はとうとう最後の夜を迎えました。
13.疑心暗鬼

疑心暗鬼の心が積み上げる罪と骸
ああ、生きとし生ける者は罪深く美しい。

とうとう村には誰もいなくなりました。

一人残った人狼は
私に告白した人でした。

自分さえ生きていればいいと言った彼は
人の心の生み出す疑心暗鬼の醜さを嘲笑い
それゆえに誰も愛しませんでした。

だけど思いを同じくする狂人が
捨駒にするつもりだった狂人が
何時までも自分と一緒に居ると思っていた彼女が
あっけなく死んでしまって
あっけなく死を受容れてしまってはじめて
彼女を愛する心を知りました。

心があるからこそ憎しみ合う。
されど
心が無ければ愛し合う事も無い。

彼が否定してきたものは
彼自身から決して消え去る事はありませんでした。

一人ぼっちになって初めて
愛を知ってしまった彼は
あまりにも寂しくて
彼女の思い出の詰まった村から
離れる事もできなくて

よく晴れた春の日に
眠るように死にました。


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